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大和屋 つれづれ記

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「酸味」って本当に美味しいの?

皆様、こんにちは。
株式会社大和屋のアイシマです。
いつもこのブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。

さて、本日は少々踏み込んだテーマ、「コーヒーの酸味」についてお話ししたいと思います。
皆様は、コーヒーの「酸味」に対して、どのような印象をお持ちでしょうか?
お店でお客様と対話しておりますと、
「酸味のあるコーヒーはどうも苦手で…」というお声をいただくことが少なくありません。
特に、私たちよりも長く珈琲文化に親しんでこられた40代から60代の方々に、
その傾向が見受けられるように感じます。

そのお気持ち、非常によく理解できます。
何を隠そう、私も以前は「コーヒーとは苦味とコクを楽しむもの。酸味は好ましくないもの」とさえ考えておりました。

恐らく、過去に経験された珈琲、例えば少し時間が経ってしまったものや、 あるいは品質管理が適切でなかったものに触れた際、 「不快な酸っぱさ」として記憶に残ってしまったのではないでしょうか。

例えるならば、それは「傷んでしまった果物のような不快な酸味」。
当然ながら、それを好んで味わう方はいらっしゃらないでしょう。
その経験が、「酸味=苦手」という印象を形作っているのではないかと推察いたします。

しかし、私がこの大和屋珈琲で働き始め、最も衝撃を受けたことの一つが、「良質な酸味」との出会いでした。

ここで明確にお伝えしたいのは、
「不快な酸っぱさ」と「良質な酸味」は、本質的に異なるものである。
ということです。

私たちが「良質な酸味」と呼ぶもの、専門的には「アシディティ」とも表現されますが、
これは例えるならば「収穫したての新鮮な果実が持つ、瑞々しい酸味」です。

例えば、高品質なりんごをかじった時の爽快感。
柑橘類やベリー系の果実が持つ、甘みを伴った華やかな芳香。
そうした「明るさ」「後味のキレ」「風味の華やかさ」こそが、「良質な酸味」の正体です。
この「良質な酸味」は、高品質なコーヒー豆だけが持つことができる、素晴らしい「個性」の一つにほかなりません。

では、あの「不快な酸っぱさ」とは何なのでしょうか。
原因はいくつか考えられますが、多くは「豆そのものの品質(未熟な豆など)」に起因するか、
「抽出や保管状況が適切でない」場合に多く発生します。

質の悪い豆だと、良い酸味は出ずに、ただトゲトゲした不快な酸っぱさだけが目立ってしまいます。
また、どれだけ良い豆であっても、抽出が適切でないと、不快な酸っぱさが出ることがあります。
例えば、お湯の温度が低すぎたり、抽出時間が短すぎたりすると、
豆の持つ良い成分(甘みやコク)が十分に溶け出す前に、酸味だけがトゲトゲしく際立ってしまうのです。
これを「抽出不足」と呼んだりします。

私たち大和屋珈琲が何より大切にしているのは、まさにこのバランスです。
豆が持つ固有のポテンシャルを最大限に引き出す「焙煎」と、その良さを余すことなく液面に移す「抽出」。
その両方が揃って、初めて「美味しい珈琲」が完成します。



大和屋珈琲と申しますと、深煎りの重厚な苦味やコクを想像される方が多いかと存じますが、
実は浅煎り~中煎りで「良質な酸味」を引き出すことにも、並々ならぬこだわりを持っております。
これは、私たちのささやかな自負でもあります。

「そうは言っても、やはり酸味には抵抗がある…」という方。
もしよろしければ、まずは「中煎り」のブレンドからお試しいただくのはいかがでしょうか。
深煎りのようなしっかりとした苦味とは異なり、
少し軽やかで、後味にほのかな甘酸っぱさが感じられる。そんなイメージです。

「これがブログで言っていた『フルーティー』という感覚か」と、新しい発見をしていただけるかもしれません。

コーヒーは、実に奥深い嗜好品です。 苦味、コク、甘み、そして「酸味」。
これまで「苦手」と感じていた扉を少し開けてみることで、そこには全く新しい、
より豊かで奥行きのある珈琲の世界が広がっている可能性があります。

「飲まず嫌い」で、この素晴らしい個性を体験しないのは、少々もったいないことかもしれません。
ぜひ今度、大和屋珈琲の店舗で「良質な酸味のあるコーヒーを試してみたい」と
スタッフにお気軽にお声がけください。
皆様のお好みを伺いながら、最良の「酸味」体験をご提案させていただきます。

それでは、また次回の記事でお会いできますことを楽しみにしております。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。